タスク管理アプリを次々と乗り換えても、なぜか手帳に戻ってきてしまう。そんな経験はありませんか。バレットジャーナル(通称bujo)は、ライダー・キャロル氏が考案した、1冊のノートで予定・タスク・記録をすべて管理する方法です。決まった形式のノートを買う必要はなく、手元のノートを今日から始められます。

この記事では、バレットジャーナルの基本要素を順を追って解説します。日本の手帳文化との違い、必要な道具、各ログの使い方、続けるコツまで、最初の15分で始められる形でまとめました。

バレットジャーナルとは(日本の手帳文化との比較)

バレットジャーナルは「アナログのタスク・予定・メモ管理システム」です。決まった印刷フォーマットはなく、自分でページを設計します。これが最大の特徴であり、日本の手帳文化との大きな違いです。

日本にはほぼ日手帳、ジブン手帳、Stalogy、Midori MDなど、優れたフォーマット入り手帳が数多くあります。マンスリーやウィークリーが印刷されていて、開けばすぐ書ける手軽さが魅力です。一方バレットジャーナルは、無地・方眼・ドット方眼のノートに、自分でカレンダーやリストを書き起こします。

どちらが優れているかではなく、目的が異なります。フォーマット入り手帳は「決められた枠を埋める」効率を、バレットジャーナルは「自分の働き方に合わせて枠から作る」柔軟性を提供します。仕事の内容が頻繁に変わる人や、書きながら考えたい人には、bujoの自由度が合います。

必要な道具(凝りすぎないことが大事)

最初に揃える道具は、ノート1冊とペン1本だけで十分です。

ノートは、ドット方眼のA5サイズが扱いやすいです。代表的なのはロイヒトトゥルム1917やモレスキンですが、日本のMidori MD、Stalogy 365days、無印良品のノートでも全く問題ありません。ページ番号は後で自分で振っても構いません。

ペンは普段使い慣れたものを。シャープペンシルでも、フリクションでも、万年筆でも構いません。色ペンや定規、マスキングテープは後から必要だと感じたときに追加すれば十分です。

最初から完璧な道具を揃えようとすると、始める前に疲れてしまいます。バレットジャーナルの哲学は「ミニマルに始めて、必要な分だけ足す」。これは改善(kaizen)の発想とも重なります。

キー(記号と意味)

バレットジャーナルでは、タスクの種類を記号で表します。これを「キー」と呼びます。基本のキーは4つだけです。

  • 黒丸(・):タスク
  • 丸(○):イベント・予定
  • ダッシュ(−):メモ・気づき
  • 星印(★):重要

タスクの状態を表す記号も覚えておきましょう。

  • × :完了したタスク
  • >:次の日や週に持ち越したタスク
  • <:未来のページに移したタスク

最初のページに、自分用のキー一覧を書いておきます。慣れてきたら、自分なりの記号を追加しても構いません。たとえば「電」を電話タスク、「待」を待ち中のタスクにする、といった具合です。

インデックス

ノートの最初の数ページを、インデックス(目次)として確保します。新しいページを書き始めたら、そのテーマとページ番号をインデックスに追記します。

例:

  • 5月マンスリー … p.10
  • 5月デイリー … p.11〜
  • 読書記録 … p.45
  • 出張準備リスト … p.52

インデックスがあることで、後から「あの会議のメモはどこだっけ」と探す時間が減ります。1冊使い終わったあとも、検索可能なアーカイブとして機能します。

フューチャーログ(年間の見通し)

インデックスの次のページに、半年から1年分のフューチャーログを作ります。見開きを6マスに区切り、それぞれの月の主な予定や締切、目標を書き込みます。

日本の感覚では、4月始まりの新年度サイクルが馴染みやすいでしょう。年度初めに、その年度の主要イベント(プロジェクト締切、家族の予定、研修、健康診断)をフューチャーログに置いておきます。

フューチャーログの役割は、未来の自分への引き継ぎです。3か月後の自分が困らないように、今わかっていることを先に書き残しておく。これは段取りの第一歩です。

マンスリーログ

月の始まりに、その月のマンスリーログを作ります。見開きの左ページに日付を縦に並べ、各日の予定を書きます。右ページには、その月のタスクリストや目標を置きます。

カレンダー型にこだわらず、リスト型にするのがbujoのマンスリーの特徴です。1日に2〜3件の予定であれば、リスト型のほうが書きやすく、見渡しやすいです。

月初にマンスリーログを作る5〜10分の儀式が、その月の準備運動になります。フューチャーログを参照して、今月着手すべきことを書き写すと、自然と段取りができあがります。

デイリーログ

その日のページは、その日の朝(または前日の夜)に作ります。日付を書き、その下にキーの記号とともにタスク・予定・メモを並べていきます。

5月18日(月)
○ 9:00 チーム会議
・ 企画書ドラフト作成
・ 顧客Aへ折り返し電話
・ 経費精算
− 部長の指摘:来期は予算シフトを検討
★ 提案資料の方向性を確定

デイリーログの良いところは、その日に必要なだけのスペースを使えること。予定の少ない日は数行、忙しい日は1ページ以上使ってもよく、無駄な余白が出ません。これはもったいない精神にも通じる発想です。

毎日の運用例はデイリープランナーのテンプレートでも紹介しています。bujoのデイリーログと組み合わせると、書く要素が整理しやすくなります。

コレクション(テーマ別ページ)

デイリーログの合間に、テーマ別の特別ページ(コレクション)を作ることができます。

  • 読書記録
  • 出張準備リスト
  • プロジェクトの進捗
  • 健康記録(体重、睡眠時間)
  • 学習ログ
  • 振り返り(反省)ノート

コレクションのページを作ったら、必ずインデックスに追記します。これを忘れると、せっかくの記録が埋もれてしまいます。

コレクションは「自分専用のフォーマット」を育てる場所です。1か月使ってみて続かなかったページは、潔く諦めてOK。続いたものだけが、自分の働き方に合った仕組みとして残ります。何を記録し、2週目にマス目を放り出さないためにどうするかは、習慣トラッカーのガイドにまとめました。

マイグレーション(バレットジャーナルを続ける鍵)

マイグレーションとは、月末や週末に未完了タスクを次の期間に書き写す作業です。バレットジャーナルが他のシステムと違う点は、この「書き写す」プロセスにあります。

書き写すときに、自然と問いが生まれます。「このタスクは本当にやる価値があるか」「来月にも持ち越すなら、それは本当に重要か」。書く手間があるからこそ、不要なタスクが自然と削ぎ落とされていきます。

月末の30分、週末の15分をマイグレーションに充てましょう。タスクの種類別の判断は優先順位の付け方を参考にすると進めやすくなります。

マイグレーションは反省(hansei)の時間でもあります。書き写しながら「なぜこのタスクは進まなかったのか」を1〜2行メモするだけで、翌月の計画精度が上がります。

デジタル版バレットジャーナル

紙のノートが好きでも、検索性や共有のためにデジタル版を試したい人もいるでしょう。NotionやObsidian、SetTasksのようなツールで、bujoの考え方を再現することは可能です。

デジタル版の利点は、検索、リンク、コピーが速いこと。欠点は、書くという身体的な動作が失われることです。書くことで思考が整理される側面は、デジタルでは再現しきれません。

折衷案として、デイリーログとマンスリーログは紙で、コレクション(読書記録、学習ログ、プロジェクト管理)はデジタルでという使い分けもおすすめです。続く仕組みを作る考え方は生産性を上げる10の習慣でも触れています。

形式にこだわるよりも、「考える時間」と「動く時間」を確保することが、バレットジャーナルの本当の目的です。